【感想】[映]アムリタ : 野崎まど
野崎まど先生の、アムリタを読みました。
サスペンス+ミステリーです。
超面白いので、未読の人は今すぐ読んだほうが良いでしょう。
- 作者: 野崎まど,森井しづき
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2009/12/16
- メディア: 文庫
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現実を舞台にした小説にファンタジー要素を混ぜない場合、大事なのがエキセントリック具合です。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』は主人公である比企谷八幡の鬱屈した思考だったり。
『半分の月がのぼる空』はヒロインの奇病であったり。
『[映]アムリタ』の要素は、ヒロインの絵コンテです。映画の絵コンテ。
それを読み始めた主人公は、52時間(だっけ?)も意識を失い、ひたすら絵コンテを読み耽ってしまう。
ちょっと奇抜だけど、主人公がヒロインに興味を惹かれるにはビビッドでいい感じのイベントだな……、とか軽く穿った視線で読んでいたんですが、裏切られました。
アムリタの絵コンテを読んだ時の異常な思考の錯乱。
一芸入学の時の映像を見た時の強烈な反応。
それでも、彼と、彼を取り巻くサークルの面々の距離は縮まっていく。
迎えた大団円。
幸せな朝。
僕らが見に行くのは、やっぱり映画だ。
うん、きれいなエンディングである。
気持ちよかったー。
そんな読者の清らかな心を墨汁でぶち犯すようなラストの幕引き。
小さな小さな伏線と、小気味良い掛け合いと学生同士のやりとり、という明るいファクターが全て最後にひっくり返される。
一枚の大きい絵だったのに、それをひっくり返したら別の絵が出てきました、という緻密な構成。
これぞまさにミステリー。でした。
久々に本を呼んでゲッソリ疲れた。
良い本でした。
他の本もポチったので、野崎まどを少しずつ読破していきます。